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【潮風対談】はじめての海の日を振り返って

 

で活躍する場面をもっとPRすべきです。
亀井 先般、国会で法律改正して国際船舶制度をスタートしました。法的な面での整備や来年度の予算請求でも、この制度を充実するようにしていかなければなりません。
日本は四面を海に囲まれた海洋国家ですから、日本人はもっと海洋に関する仕事をし、また若い人にそういう職場に就いていただけるような環境にしなければいけないと思います。
柳原 本来、海運は国際的なものですね。世界の船に日本人が乗っていて、小学生が船長さんに憧れるという雰囲気が広がれば、「海の日」も毎年楽しみになると思います。全国の小学校に船長さんが話しに行くとかね。ただ、この日に夏休みになってしまうんですね。
亀井 クルーズ客船に乗船を希望する方が大勢いるという報道も耳にしています。船の利用がいろいろな面で拡充されることは素贈らしいと思います。
柳原 クルーズは非常にいい成績ですね。世界一周をするなんて、考えも及ばなかったことです。願わくば、もう少し若い世代の人に乗って欲しいです。それから、各地の港でも、遊覧船に乗って港を見物しながら食事をするのが流行ってきました。普段は入れないような港を海から見て、こういう船が仕事をしているのかと判るようになってきたのは面白いと思います。
亀井 各地で港の整備のご要請を受けるわけですが、その前に、教育面で海一船をPRして欲しいですね。遠足等で子供たちに船に乗ってもらい、船のよさを知ってもらうのです。この間も北陸地方に参りましたら、北海道や北九州へのフェリーがたくさん運航されているのに驚かされました。日本列島は弓形なので、北陸から北海道や九州へは、直線的には距離が短いわけで、経済的にも高遠で大型の船を使うことでフェリーが重要な交通機関になっているわけです。
柳原 海のPRには、やはり、船に乗ったり、港に来ていただかないとね。
「海を知って」楽しもう
亀井 海はいろいろな恵みを与えてくれる一面怖さもありますね。
柳原 逆に言えば、それは海洋国民の常識みたいなものですね。海を侮らず、恐れず、怖さを知った上で楽しむ気風が広がればいいと思います。海を勉強しないで、ただ楽しむだけだと、事故が起こるわけですからね。
亀井 その点については、海上保安庁では水路の整備や救難活動、気象庁では海洋気象などの調査研究に努力していますし、海に関するさまざまな分野で運輸省も努力しております。
柳原 お暇はないかと思いますが、大臣は船に乗ってクルーズなさいますか。
亀井 運輸政務次官のときに、熊本と長崎で観光立県推進会議を一晩船に宿泊して洋上でやりました。建物の中での会議と違って、いいアイデアも出ます。
柳原 港と港を縮んで海から日本を見るのは、ほかの環境とは違うものですね。最近はウォーターフロントの整備が各自治体で盛んだし、海岸線のある町を海から見てみることが、町の新しい色替えに役立つでしょうね。
亀井 七月二十日は夏休みの最初の日です。日木は海洋国家ですが、意外に海の恵みには気が付かないものです。海に対してそういう意識を持っていただくことが大切です。
柳原「海の日」ではあるけれど、私の好みでは、船、港、海の順です。船が日本人にとっていかに重要かを認識してもらうには、まず客船やフェリーから船に接してもらい、それからコンテナ船やバルクキャリアー(ばら積み船)や自動車船に目を移してもらい、そこで働いている船乗りの仕事や生活などについても知ってもらいたいですね。「海の日」は広がりのある祝日だから、海上交通におけるマナーも含めて、海でちょっと勉強をしていただいて、皆さんに海の知識をこの機会に広げてもらいたいと思っています。

 

 

 

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